無機―有機ハイブリッド、インターカレーション、グラフト反応、ゾル-ゲル法、プレセラミックス法
菅原研究室では無機-有機ハイブリッドの合成と応用を広く検討している。無機-有機ハイブリッドを材料として利用することをターゲットとするとともに、無機-有機ハイブリッドを前駆物質としたセラミックスの新しいケミカルプロセスの開発へも展開している。ハイブリッドの合成においては、無機固体化学から有機金属化学まで、広範な無機化学を活用している。また、プロセスや生成物のキャラクタリゼーションを重視し、回折手法や分光学的手法を活用して研究を展開している。また、物性評価の結果を合成系へフィードバックし、高機能化をはかっている。
層状物質はナノシートが積層した構造をしており、一部の層状物質は層間に有機分子や有機イオンを取り込んで(この反応をインターカレーションと呼ぶ)層間化合物と呼ばれる無機-有機ハイブリッドを形成する。層間化合物中では有機分子や有機イオンと無機ナノシートがナノメータレベルで規則的に積層しており、極めて興味深い無機-有機ハイブリッドである。通常のインターカレーション反応に加え、有機基を共有結合でナノシートに結合させるグラフト反応について検討を行っている。
層状ペロブスカイト構造を持つ遷移金属酸化物に着目し、前駆物質の構造を活かしながら、新しい物質への変換を試みている。特に、Aurivillius 相と呼ばれる酸化ビスマスシートを構造中に含む層状ペロブスカイトを酸処理してH型層状ペロブスカイトへ変換するルートを重点的に探索している。得られた H型層状ペロブスカイトはTEMやNMRを用いて構造を検討している。また、イオン交換や選択的酸化ビスマスシート溶出反応により合成したH型層状ペロブ スカイトを用いて、インターカレーションやグラフト反応を利用して無機-有機ハイブリッド材料を合成している。
金属―窒素(あるいは金属―炭素)結合を持つ無機及び有機金属化合物(プレセラミック)を種々の雰囲気で熱分解し、窒化アルミニウム(AlN)や窒化ケ イ素(Si3N4)などの窒化物とそれらをベースとしたセラミックコンポジットを合成している。特に、カゴ型構造や環状構造などを持つオリゴマーに着目し、これらのプレセ ラミックとしての可能性を探索し、またこれらを構成ユニットとした新しいプレセラミックの設計を行っている。さらに、プレセラミックの合成とその熱分解生 成物のキャラクタリゼーションに加え、プレセラミックの熱分解時のガス発生挙動を詳細に追跡することにより熱分解過程の解明を行い、プレセラミックの構造 と熱分解過程の関連性を検討している。
遷移金属アルコキシドを加水分解・重縮合させて、無機―有機ハイブリッドあるいはペロブスカイト等の遷移金属酸化物を合成している。特に前駆物質の構造 が加水分解・重縮合反応や生成物の構造へ与える影響に着目し、新しいダブルアルコキシド合成プロセスの探索とそのセラミックスへの変換過程、遷移金属アル コキシドの化学修飾による加水分解・重縮合反応の制御等について検討を行っている。
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