下嶋 敦 教授

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研究内容

近年、分子の自己組織化を利用した材料合成が大きく進展しているが、我々は様々な元素を用いた無機、あるいは無機―有機複合型のビルディングブロックの設計と自己組織化を一つのキーコンセプトとし、生体系に見られるような精緻な階層構造制御とそれに基づく新しい機能の創出を目指している。

ケージ状のシロキサン化合物は剛直で安定な骨格を有し、かつ頂点Siの化学修飾も容易であることから、ナノフィラーとして有用であるばかりでなく、ゼオライトのような結晶性無機多孔体の二次構造単位としても注目されている。これまでに、様々な有機リンカーを用いてケージシロキサンを連結することによって、無機・有機ユニットが交互に3次元的に配列した多孔性ネットワークを構築することに成功している。現在、このようなユニットからなる高次構造体を自在に構築するための合成技術の確立と異種金属の導入による触媒活性の付与、さらに自己組織化プロセスによる集積化について検討を行っている。

一方、有機化合物の多様な性質を利用した材料設計についても検討を行っている。光応答性分子で修飾された無機モノマーやオリゴマーを規則的に配列し、さらにマクロ形態をファイバー状やフィルム状に制御することによって、光照射によって形や構造を変化させる光応答性材料の合成に取り組んでいる。さらに、生体系における高度な修復メカニズムに倣い、ペプチドなどの可逆的な水素結合形成を利用し、外部応力を緩和しダメージを回復可能な自己修復性材料の創製を進めている。

略歴

  • 1995年 早稲田大学理工学部応用化学科卒、1997年 同大学院理工学研究科修士課程修了。2002年 早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了・博士(工学)。
  • 1997-1999年 昭和電工(株)。2002-2005年 日本学術振興会特別研究員(PD)、この間、2004-2005年 カリフォルニア大学サンタバーバラ校訪問研究員。2005年 科学技術振興機構CREST研究員。2006年 東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻助手、2007年同助教、2008年同准教授。2013年4月より早稲田大学 理工学術院 准教授。
  • 2006年度 日本セラミックス協会進歩賞。
  • 2017年4月より同大学教授。

知識としての化学だけでは終わらない。
使える化学を学んで、鍛え上げられた人材に。