松方 正彦 教授

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教授 松方 正彦

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研究内容

新規触媒・分離材料で化学プロセスの革新を目指す

エネルギー・環境問題の解決には、化学プロセスの革新が必須です。無機結晶性ミクロ多孔体の合成と機能に関する化学をコアとして、エネルギー・環境問題の解決に資する新規な化学反応を実現するための触媒の開発、化学プロセスを圧倒的に省エネするための膜分離技術の開発に挑戦しています。

1. ミクロ・メソ多孔体に関する研究

1nm以下の細孔を有する結晶性アルミノシリケートであるゼオライトは、石油化学、触媒化学において重要な役割を果たしてきた。ゼオライトは従来、水溶液から結晶を析出させる方法(水熱合成法)で合成されてきた。いっぽう、我々はドライゲルコンバージョン(DGC)法という新規な合成法を提案し,研究を進めている。これは原料ゲルを一旦乾燥し、これを気相中で結晶化させるという方法である。DGC法を用いると水熱合成法では得られない構造や組成のゼオライトが得られる。また、DGC法におけるゼオライトの結晶化機構に関する研究を進めている。DGCまたは水熱合成法を用い、新規な構造をもつミクロポーラス結晶の探索、触媒特性の評価、結晶化過程の解明、結晶骨格への異種元素導入法の開発を行っている。
また、触媒への応用が期待される2-50 nmの細孔をもつメソポーラス物質の合成と利用に関する研究を行なっている。多孔性シリカ、ヘテロ元素含有多孔性シリカの新しい合成手法の開発、均一なメソ孔が力を発揮する触媒反応の開発に取り組んでいる。

2. ゼオライト膜による分離プロセスの開発

膜分離は深冷分離など相の変化を伴う従来のプロセスに比べ省エネルギーが可能な分離プロセスである。図に示すように、ゼオライトは分子の大きさや吸着力の差を利用した分離機能を発揮することができる。我々は、世界に先駆けて分子レベルで分離を達成する無機膜を開発し、継続して研究を行なっている。

3. 石炭、廃棄物有効利用プロセスの開発

石炭はその埋蔵量の豊富さから21世紀においても基幹エネルギー源の地位を保ち続けると考えられる。石炭利用プロセスを構築する上で課題となる灰分の放出挙動やガス化速度の支配因子の解明に取り組んでいる。また、廃棄物の燃焼・ガス化による有害成分(塩素化合物など)の放出挙動の解明をめざし研究を進めている。また、バイオマスの燃焼・ガス化プロセスの開発の観点から、プロセス構築の鍵となるタールガス化用触媒の開発を行っている。

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当研究室で開発した、ゼオライト膜の断面の電子顕微鏡写真。多孔質のアルミナ層の上にゼオライト薄膜が製膜されている。

先生への突撃インタビュー(早稲田応用化学会)

http://waseda-oukakai.gr.jp/newhome/2016/08/28/totsumatsukata/

略歴

  • 1984年 早稲田大学 理工学部 応用化学科 卒業、1989年 早稲田大学 大学院理工学研究科 応用化学専攻 博士後期課程修了・工学博士
  • 1989年 成蹊大学 工学部 工業化学科 助手、1992年 大阪大学 基礎工学部 化学工学科 助手、1996年 同 基礎工学研究科 化学系専攻 助教授、1997年 早稲田大学 理工学部 応用化学科 助教授、2001年より同 教授、現在に至る
  • 1995年度 化学工学会奨励賞、1995年度 石油学会奨励賞、1998年度 触媒学会奨励賞、2000年度 日本エネルギー学会進歩賞

知識としての化学だけでは終わらない。
使える化学を学んで、鍛え上げられた人材に。