いろんな材料は全部、化学から始まっているし、化学の成果に囲まれて生活していると思うとワクワクします。
医療系にもともと関心があり、医学部受験も視野に入れて受験勉強をしていました。受験勉強で化学の問題を解きながら、色々調べ物をしているうちに、生物のことを化学の視点から見るのが面白いなと思うようになりました。
大学応用化学科を選んだのは、高校の先生の影響が大きいです。出身高校に応用化学科出身の先生がいらして、その先生が化学を広く勉強できるなど、魅力を伝えてくれたのが決め手になりました。
高校の部活には入らず、地域の楽団に入ってサックスを吹いていました。半年に1回の定期演奏会では、大人の方と一緒にステージで演奏していました。印象に残っているのは、「ローマの祭り」というオーケストラ用の曲の吹奏楽バージョンにチャレンジしたこと。難易度も高く、かなり頑張って練習したのも良い思い出です。
化学は高校では聞いたことのないことを大学に入ってから新しく学ぶことが多いと感じます。反応機構にしても、高校までは化学反応を書いて、これがこうなるという結果だけを書いていたけれど、大学になると過程を重視して、理由まで考えて記述します。そこが高校の勉強と大きく違うところかなと思います。
もともと医療に興味があったこともあり、生物化学の授業で生命現象を化学式で書いていくのは楽しいです。光合成って実はこういう反応が起きている、呼吸ってこういう反応が起きている、そのときに酵素が働いてなど、高校生のときだったら全然わからなかったような、複雑な反応が理解できていくのが楽しいです。
ケルト音楽を演奏する「早稲田大学ケルト音楽同好会(わせける)」に入っています。授業以外は、レポートもやりつつ、サークルで楽器の練習をしたり、友達と一緒に演奏したりしています。ケルト音楽はもともと酒場とかで流していた音楽で、本場のアイルランドでは小さな子でも演奏に参加しているくらいです。レポートの息抜きをかねて、みんなとワイワイ楽しんでいます。
化学が実際に世の中で使われていることに実感を持てるようになりました。高校で学ぶのは問題を解くための化学で、実生活と結びついている実感が持ちづらかったのですが、大学に入って授業を聞くうちに、身近なものを化学に置き換えて考えられるようになりました。いろんな材料は全部、化学から始まっているし、化学の成果に囲まれて生活していると思うとワクワクします。
大学には良い意味でいろんな人がいて、自分の中で価値観が壊れた感じです。例えばサークルでも、練習日は来るのが当たり前と思っていたのですが、強制ではなく自由でみんな自分のやりたいことをやっています。練習に来ない人は、他のところで自分のやりたいことを見つけています。多様性を認める価値観に出会って、人に対する見方が大きく変わりました。
「バイオミミクリー」に興味があります。他の生物のすごいところを人間が人工的に作ろうという考え方です。たとえば、撥水性の素材はもともとはハスの葉から着想を得て開発されたそうです。生物のすごいところをそのままということではなく、新しい酵素や材料を見つけてそれに近いものを考えたり、作ったりしてみたいです。
周りでは応用化学科は忙しいと言われますが、あまりそう感じたことはないです。もちろん実験は多いですが、実験の授業を通じて同期と密なコミュニケーションがありつつ、それ以外の時間では、自分のやりたいことを追求している人が大半です。大学に行って何をしようか迷っている人がいたら、「化学が嫌いじゃなかったら応用化学科にきてみるといいよ」と言いたいです。
(学年は取材当時のものです)