株式会社レゾナック
平成27年卒 山口麻衣
応用化学科では有機化学、無機化学をはじめとする様々な専門科目がありますが、私の専攻は化学工学でした。大学での専攻を生かしたいと思い化学メーカーであるレゾナックを志望し、現在は生産技術の仕事をしています。
高校の化学では扱いませんが、化学工学は「何を作るか」ではなく「どのように作るか」を考える学問で、モノを「大量に」「効率よく」作る方法を考えます。研究レベルのものをいかにして社会へ送り出すか、化学工学は化学と社会の橋渡しをする学問だと思っています。化学メーカーにおける生産技術の業務では、プラント設計だけでなくすでにある化学プラントの効率を上げる方法なども考えます。
仕事では大学で学んだ化学工学の計算を多用するので、授業の重要性をとても感じています。一方で実際の化学プラントでは様々な理由で理論と異なる現象が起きます。その理論と現実に起こる現象との違いを明らかにするために温度や流量などの運転データからどういう現象が起こっているのかを考え解決方法を見出していくことが、難しく大変なところでもありますが、楽しくやりがいをかんじるところでもあります。
現在私の部署では統計の手法を取り入れた運転データ解析を行ったりAIを使った画像解析を試みたりと、化学工学計算とは違ったアプローチでの問題解決にも取り組んでいます。皆さんが社会人になる頃には、さらに新しい技術が導入されているかもしれません。しかしどのようなツールを使うにも技術者として必要なのは「論理的に考える力」だと思います。大学の授業を通して、この「論理的に考える力」を伸ばしてもらえたらと思います。
話は変わりますが、私は出産を経て職場復帰をしました。会社の制度と職場の上司・同僚の皆さんの理解のおかげで育児と仕事を両立しています。私の周りにも子育てをしながら仕事をしている女性が何人もいますし、今では出産後の復職は当たり前になってきています。保育園の送迎の関係で就労時間に制約がありフレックスや短時間勤務などの制度を利用させていただいていますが、仕事内容に関しては産前と変わらず重要な業務を任せていただいています。私にとって出産は、自分が仕事をする意味を考えるきっかけになりました。ライフイベントの充実が仕事のモチベーションに繋がることもあると思います。この私の経験が、様々な可能性を持つリケジョの皆さんの参考になれば幸いです。