諏江 霞純さん

将来的に化学の道を考えている人はもちろん、そうではない人でも応用化学科で経験したことは必ずプラスになると思います。

諏江 霞純(すえ かすみ)さん 先進理工学研究科 応用化学専攻 平沢・小堀研究室 修士課程2年 県立会津高等学校(福島)出身

Q1.化学の道を選んだ理由は?

小さい頃から何かで世の中の役に立ちたいと思っていました。高校生のときに山中教授がIPS細胞でノーベル賞を受賞されたニュースを見て、科学技術ならば多くの人を幸せにできるのではないかと考えたのがきっかけです。応用化学科を選んだのは、「役立つ化学、役立てる化学」をアピールしていて、人の幸せにつながる、「役立つ」勉強ができそうだと思っていたからです。

 

Q2.早稲田大学大学院応用化学専攻の修士課程に進学を決めた理由は?

入学当初は、大学4年で卒業して就職するつもりでした。大学3年生の時に就活フェアに行ったところ、理系職は大学院卒しか採用しないという企業が多かったのです。学んだことを生かして理系職につきたいという希望があったので、大学院に進学することを決め、学部から引き続いて同じ研究室に進みました。同じ研究を続けられたので学会に何度も参加できるなど、様々な経験を積めてよかったです。

 

Q3.研究テーマを教えてください

原発や核燃料に関連した研究に携わることで、出身地である福島だけでなく、様々な原発の問題を解決したいという思いで、使用済み核燃料の再処理に関する研究に取り組んでいます。核燃料の再処理の工程では、液中から生成した結晶が反応容器や配管の内側の壁に付着する現象が起きており、配管の閉塞や熱が伝わりにくくなるなどの問題を引き起こしています。そこで、その問題を解決するべく、結晶の付着を防ぐ方法を研究しています。

Q4.高校生の時はどのように過ごしていましたか?

高校時代は、実は国語が一番好きで得意でした。化学はそんなに好きでもなかったし、得意でもありませんでした。最初は文系を選択するつもりで、文学部などの人文系を考えていましたが、将来のことを考えてあえて理系に進みました。応用化学科を選んだのは、「役立てる化学」を打ち出していて、世の中の役に立ちたいという私の思いに合致したからです。得意だった国語の現代文や古典で学んだ内容は、物事の考え方や生き方の指針として研究生活でも活かせる機会があり、どんな学びも無駄にならないと思っています。

 

Q5.研究で今いちばんやりがいを感じている点は?

核燃料に関する研究はどちらかといえばマイナーだと思うのですが、マイナーだからこそ、小さな結果でも新発見になる可能性もあります。新発見ができるかもと思うと研究へのやる気が出てきます。結果を出せた時は素直に嬉しいですね。教授に「この結果は学会で発表しよう」と言われたときも研究を続けていてよかったと思いますし、やりがいを感じます。

また、時間をかけて実験したのに、結果が全然ダメだったときももちろんあります。そんな時は、一時的に凹みはしますが、むしろ本当のこと、新しいことを知ることができて嬉しいと思うようにしています。

 

Q6. 研究室生活で心に残っているエピソードを教えてください

実を言うと大学3年まで、化学を専攻しているのに化学が大嫌いでした。授業とかついていけなくて、本当に辛かったですね。学生実験でも、いつも最後まで時間がかかっていました。化学の楽しさに気づけたのは、大学院に進んでからです。今までの知識を使って実験したり、何か発見をしたりする中で、化学の楽しさをやっとわかり始めました。また、2021年3月の学会では運良く賞(化学工学会第86年会、学生奨励賞)をいただきました。いつかいただけたらいいなと思っていましたし、教授への恩返しも込めて入賞できて良かったです。

 

Q7. 将来の夢・進路は?

研究活動で培った、思考力、行動力、プレゼンテーション能力等を生かして、社会に役に立つ人材になることです。研究では、何が課題なのかを考えて、自分で行動する必要があるので課題解決力が身につきます。また、研究室配属後は学内外で発表する機会も多いため、一方的に伝えるのではなく、相手がわかるように伝える力がつきます。これらの能力を磨けることが研究の真髄なのではないかと思っています。研究職につくかつかないかに関わらず、どのような仕事でもこれらの力は活かせると思うので、将来の進路は幅広く考えたいと思っています。

 

Q8. 受験生(高校生)へのメッセージをお願いします

応用化学科は化学を学ぶ場所と考えている方が多いと思いますが、実際は、化学だけでなく自分で考えてそれを形にする力が培われます。学生実験では、自分で問題を見つけて考えるというレポートが毎週課されます。また、レポートの項目にはヒントなしで自分の頭で考える「独自考察」があり、これが一番大変でしたが、考える力がつくいい訓練になったと思います。ここで培われた能力は、研究職だけなく幅広い領域で役立ちます。なので、将来的に化学の道を考えている人はもちろん、そうではない人でも応用化学科で経験したことは必ずプラスになると思います。

知識としての化学だけでは終わらない。
使える化学を学んで、鍛え上げられた人材に。