高校の化学の先生の授業が上手で、そこで化学の面白さに気づいたことがきっかけです。化学は自分とは遠い存在のように思っていましたが、化粧品に使われている材料や薬など身近なところに役に立っていると気づき、そこが面白いと思ったので、化学の道を選びました。応用化学科を選んだ理由は、オープンキャンパスで研究室の見学をして、高校と違って大掛かりな実験装置を使って幅広い研究をしていると知り、将来の選択肢の幅が広そうだと思ったためです。
1年生の時は漠然と修士課程に進もうと思っていましたが、2年生の時には絶対に進学しようと決めていました。先輩方と話す中で、応用化学科では9割近い学生が修士課程に進むと知り、私も修士課程に進学して、より学びを深めたいと思うようになりました。
私が所属している研究室では、充電して繰り返し使える二次電池の研究をしています。今使われているのはリチウムイオン二次電池が主流ですが、リチウムイオン二次電池よりもさらに良い性能のものを開発できるように研究しています。電極の材料や動作メカニズムは今までの電池とは全く違うものになっています。もっと沢山の電気を貯めることができるので、さらに長持ちするというイメージです。また、今のリチウム二次電池の電極材料にはレアメタルが使われていますが、新しい電池では地球に沢山存在している材料を使っているため環境負荷が小さく、コストも安いので、今の電池よりも優れた電池として期待しています。
中高一貫校であったため、中学の時から大学受験を意識して勉強に取り組んでいました。高校生になると、志望校現役合格を目指し、毎日多くの時間を受験勉強に割きました。母校では、数学や英語等の一般科目だけでなく、社会問題について考える授業も設けられており、そこで学んだことも沢山あります。例えば、その授業で環境問題について学んだことをきっかけに、エネルギー問題に関心を持ちました。その時、担任の先生が地球温暖化の話や再生可能エネルギーが注目されているという話を詳しく取り上げてくださりました。高校生の時に話を聞いて興味を持ったことが、今の研究に繋がっていると感じています。
研究のやりがいは、新しく未知なものに対して自由にアプローチできる点だと思います。実験自体は好きなので楽しいですが、実際にやってみると研究室配属前までに想像していたよりも大変なところはありました。3年生までは実験したら大抵はうまく行くものなのかなと思っていたのですが、沢山実験をするうちに、順調に結果が出ることの方が少ないのだと気づきました。学生実験では、教科書に書かれている指示に従って行えば、もともと決まっている結果が出ましたが、研究ではどのような結果が出るかわからないものに対して、自分で方法を考えて取り組むことになります。そこが面白いので、やりがいを感じるところだと思っています。
学部4年生の時から、新しい研究テーマの立ち上げに携わっていることでしょうか。私が今行っている研究は私の代から立ち上がる研究で、先輩方が行っていなかったテーマだったので、英語で書かれた論文を読み、そこに書かれている方法を試すところからスタートしました。最初は、専門的な用語が難しくて苦労しましたが、TOEICの勉強をしたり、英語の論文を毎週読んだりして慣れていきました。実験で行き詰まった時は、研究員の先生方にこまめに相談して、どんどん試行錯誤して進めています。
学部の1年生の時からずっと仲がいい友人がいて、研究室は別なのですが、時々Zoomで女子会をして互いの近況を話しています。今はこんな実験をやっているとか、これが大変だったとか、仲がいいので本音で喋れるのは楽ですね。今はコロナ禍で、残念ながら思うように外出できませんが、ドラマを見たり、音楽を聞いたり、料理をしてみたりして気分転換をしています。
研究職として就職したいと考えています。今、学んでいることを生かして、エネルギー関連、特に電池の開発に関わることができればいいなと思っていますが、分野を絞りすぎず、幅広く考えようと思っています。自分の専攻から一旦視野を広げて、そこから分野を絞り込みたいと思っています。
私自身もそうでしたが、高校生の時点でどういう分野に進みたいと明確に決めるのは難しいと思います。大学で様々な講義を受けるうちに、興味がある分野がはっきり分かってきたり、もともと興味があった分野とは違う分野に興味を持ったり、色々なことに気づきます。早稲田の応用化学科には、幅広い化学を学ぶ環境が整っているので、最初から進路を決めつけずに、様々なことに興味を持って学ぶと良いのではないかと思います。