高校の授業や実験を通して、モノとモノが反応して新たなモノを生み出す化学は面白いなと思っていました。店頭に並ぶ化粧品や日用品を開発に興味があったので、化学科を選択し、その中でも有機化学、無機化学、化学工学、物理化学、生物化学など幅広い化学を学ぶことができる応用化学科を選択しました。実際、学部3年までに、化学の根本的な部分であるロジックから、実際に化学がどのようなところで使われ役立っているかを具体的に知ることができ、視野が広がりました。
応用化学科では、大学4年生から研究室に配属されます。なので、4年生で卒業するとなると、1年で研究生活が終わってしまうので、力をつけにくいなと思いました。修士課程の進学を決める時期が4年生になってすぐだったので、ハードな研究生活を続けられるか不安な気持ちはありましたが、3年間、同じ研究室でひとつのテーマを継続して極めたいと思ったのが一番の理由です。
重水素化極長鎖脂肪酸を合成する研究をしています。この研究は、大きく捉えると、最終的には医療、病気の原因の解明に繋がります。そのために必要な化合物を合成して、合成したものを医療センターの方が分析して、病気の原因の解明に役立てるという共同研究です。もともと共同研究できたらいいなと思っていたので、面白いテーマに取り組めてよかったなと思っています。
中学受験をして中高一貫の女子校に通っていました。小学校の時の算数が得意だったのもあり、あまり文理の選択で迷ったことはなくて、小学校の高学年ぐらいから理系志望でした。その中でも数学よりは、物理や化学に興味がありました。勉強に関しては同級生が意識の高い人の集まりで、医学部志望の人が多く、ほとんど全員理系くらいの感じでした。勉強するには環境がすごく良くて、それに力をもらっていた側です。
今、取り組んでいるテーマは、有機合成にとどまらず、大きく捉えると病気のメカニズムの解明というように医学にまで広がっていることが、とても魅力的に感じています。有機化学は実験に時間がかかるため時間的な拘束が長く体力的にきついことも多々あります。しかし、実験器具や装置、試薬が豊富にあり、日々このような恵まれた環境で仲間と支えあいながら実験できる三年間は私の人生の中で他では得ることのできない大切は経験になると信じています。
まだ研究室に入りたての頃、3リットルの溶媒が入ったガラス瓶をあやまって廊下で落としてしまいました。すぐに巨大な扇風機で換気し、幸い誰もけがをせずに済んだのですが、床の塗装が溶けてしまい、後日床の張替え作業が行われることになりました。自らの過失に非常に落ち込み、反省しましたが、先生や先輩方が励まして下さり立ち直ることができました。改めて研究室には危険な試薬がいくつもあり、日々安全を第一に実験することが最も大切であることを実感しました。それ以来、試薬については実験の前に十分下調べをして、実際に危険な試薬を扱うときには先生や先輩に見てもらうよう徹底しています。
中高一貫校でオーケストラ部に入っていて、バイオリンをずっと弾いていました。音楽にはすごく助けられていて、悩んだり落ち込んだりした時は、ピアノを弾いたりバイオリンを弾いたりして気分転換しています。
大学に入ってもオーケストラは続けたかったのですが、早稲田大学のオーケストラ部は練習にかなりの時間をとられるため、学業、アルバイトとの兼ね合いも考えて弦楽オーケストラのサークルに入っていました。今の研究室生活の大変さに比べれば、早稲田オーケストラの活動もこなせたなと思います。今は早稲田オーケストラに入らなかったことを後悔しているので、みなさんにはやりたいことを諦めて欲しくないです。
現在考え中ですが、博士課程に進むつもりはあまりなくて、世の中に出たいなと思っています。気になっていることの一つに香料の研究があります。授業の中で、ある特徴的な構造を有する化合物は、このような香りがしますというように、構造の違いで香りの違いを分類できることを知り面白いなと思ったことがきっかけです。香料は、フレグランスだけでなく化粧品、飲料、食料などさまざまな商品に入っており、いろいろな角度から生活を豊かにできることが魅力的だなと思います。香料に限らなくても、手にした人を笑顔にできるモノづくりに携われたらうれしいなと思います。
理系は女子が少ないイメージかもしれませんが、応用化学科は割に女子が多くて1/4ぐらい。女性だからやりにくいと思ったことは全くないです。有機化学の研究室では、結構、力作業があって、20リットルくらいの廃液を運ぶとか、そういう時に力弱いなと思うし、最初はできなくて先輩に手伝ってもらったりしていましたがだんだんと慣れてきました。応用化学科は実験が多いので、実験を通して同学年の人と関わる機会が多く、自然と仲良くなれます。それは応用化学科のいいところかなと思います。